20231220_不幸福論

久々に不注意じゃない不幸に遭遇した。

昼ごはんを買いに行こうと駅前商店街に向かって闊歩していたら、長さ5cm、直径2mmほどあるネジの先端が足裏に刺さっている。
どうやらネジ頭を下にして偶然直立しているところに踏み込んだ足が思いっきり覆いかぶさって、しっかり刺さったらしい。
瞬間トムとジェリーのアニメーションが頭をよぎる。

当然足裏から脳天にかけて跳ねるような痛みが走ったが、なによりも道端で「いっっっって!」と声を出してしまった自分を恥じた。
大人になって比較的感情をコントロールできていたと思ったのだが、刺激には弱かった。
側から見ると道でおもむろに大声をあげている悲しみのサラリーマンにしかみえない。水曜日のカンパネラ(鐘)だ。

ネジをゴム製のソールから引き抜いてまじまじと見つめていると、この広い世界でわずか2mm、それが道端に直立している状態があって、さらに自分の足がこれまた直角に刺さることでしか起きない偶然(不幸)に強烈な運命を感じた。
おおよそ宝くじよりも非現実だ。こんなに悲しい偶然があってたまるか。

思わず視界を見渡して、広々とした世界をあらためて見てみると、より手元にあるネジとの出会いがドラマチックに思えてくる。
大事にポケットに入れて持って帰ってきてから、自室で眺めていると今度はなぜだか憎々しい。

ここまで清々しいほど自分に非がない出来事に見舞われると、このあとさぞ良いことに恵まれるのだろうとソワソワしていたら、大好きなデイリーポータルZが独立したニュースが届いた。

これは吉報なのか、はたまた凶報なのか、とにもかくにもはげますことした自分には出来ない。
愛すべき場所を愛していくために今日も労働に勤しんだ。足裏はまだ痛い。

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