水道料金が高かったので、使用量を確認をしようと水道局のサイトにアクセスしたら、こんなイベントの案内を見つけた。
どうやら水道工事現場の見学会があるらしい。
日時を見たら特段やることもなかったのと、何より無料だったので深く考えず応募をしてみたら、なんと当選!
こんな素人が行っていいのか少し悩んだが、水道代も高いと感じるくらいには払っているので胸を張って参加をすることにした。
工事現場の裏側を覗き見できるなんて、子どもの頃の社会科見学みたいでうれしい。
あえて情報をほとんどいれないまま、当日に挑んでみた。
遅刻で台無し3分前
見学先の王子給水所(仮)はその名の通り、東京都北区王子に位置している。
都内なので電車で1時間くらいあれば行ける場所なのだが、今回はなんと都庁から送迎のバスを出してくれる(水道代高くても払っててよかった!)とのことで、集合場所の都庁前大型駐車場に向かう。
しかしこれがまた絶妙にわかりにくい。
案内のメールで写真を添えてくれていたのだが、ふと気がつくとなぜか地下2階にいたりしててんやわんや。
こうなったらマップよりも現地の人の流れを読もうと、人数が多い場所に沿って進んでいるといつの間にか炊き出しの列に並びそうになってしまったりと、始まりからだいぶつまづいた。
結局夏日の日差しが降り注ぐ中、全力疾走をすることでギリギリ集合時間に間に合いバスを発見する。
ほっと一息ついて、受付を済ませ、参加証と資料を手にバスの中へ。
ほとんど男性しかいない車両は静まり返っており、皆じっと資料を読んでいる。
自分も周囲に合わせて資料を読んでいたのだが、妙に暑い。
上を見上げたら、エアコンが入っていなかった。
やはり行政のイベントだと、環境配慮とかそういう都合で必要な時しかエアコンをつけないのか……。
汗だくだった僕だけが出発までエアコンが注視していて、それ以外の人は手元を見ていた分、さっそく1人浮いていた。
そこから10分くらいしてバスが動き始めるのだが、この時点で僕はまだ今日どこで何をするのかあまりわかっていない。
頭の中ではドナドナが流れはじめ、バスは首都高へ乗って行った。
工事現場の裏側に潜入!
バスに乗ることおよそ30分、王子給水所(仮)に到着した。
今日我々た訪れる王子給水所(仮)は、新たに東京都東部地域に配水をするために整備されている給水所(配水池)であり、2017年の2月から着工しているらしい。
北区・荒川区・足立区における25.9万人もの人たちに安定した水源を確保することを目的とした大規模施設だ。
地図をみると、そんな大規模な給水所を割と駅近くに建設してしまって大丈夫なのか?と思った方、ご安心ください。
設備そのものは地下に埋める形になるようで、給水所を建築しながら同時に地盤も掘り進めて沈下させていく施工方法(ニューマチックケーソン工法)をとっているとのこと。
今日僕たちはその掘り進めている作業中の給水所を見れるらしい。
隠されている工事現場だけでなく、今後埋もれてしまう給水所まで見れるなんて、サプライズ性が高い!ラッキーだ!
バスから降りてしばらく誘導にしたがって進むと、囲いの内側に案内された。
細かなところに看板がついていたり、搬出用の案内があったりすでに想像と違った風景になっていて期待が高まる。
現場に入ってそのまま見学会、というわけではなく一度インフォメーションセンターで注意事項や工事の現状など改めて話を伺う。
この時工事現場の監督が現場ごとに5人ほどきてくださっており、その頼もしさからアベンジャーズを彷彿とさせた。
全員がビシッと作業服とヘルメットを着ていて、働いている人ってかっこいいんだなと思わざるをえない。
そして説明の最後に、ヘルメットが配られかぶるように指示を受けた。
これは熱い演出だ!
ヘルメットもオシャレで、なにより現場の皆さんと同じアイテムを着けれることに感動!
一時的に仲間と認めれられた達成感があり、その場にいた得体の知れないメンバーたち(約15名、うち14名が男性)にも一体感が生まれたように思えた。
土砂落ちライブシーン
見学の準備が整ったところで、まずは全員で屋上と呼ばれる工事現場を俯瞰できる場所に案内してもらう。
組まれた足場を4階まであがるのだが、足場というよりもちょっとした建物くらいしっかりとした階段が用意されていて、何の不安もなくそれをあがっていく。
屋上についた。
一見骨組みしか見えないが、どの部分で何をしているのか係の人がパネルまで使って丁寧に説明してくれる。
帰り際に10000円回収します〜と言われてもしかたないほど、至れり尽くせりの見学会である。
僕からみて右手側で排土キャリアと呼ばれる箇所があり、地下を掘り進めた土砂がクレーンとバケツを伝って、ここに落とされる様子を見ることができた。
まずは巨大バケツが地下から掘り上げた土砂を運んできて、
バケツのお尻部分についているフックと排土キャリアにある柵に引っ掛けて、
バケツが吊り下げられていたワイヤーを下げ、バケツをひっくり返すと土砂が下に落ちていく。
そして一時的に土砂をキャリア上に貯めてから、ダンプカーに運んでもらうという流れだ。
画像で見るとあまり衝撃具合が伝わらないのだが、目の前で大量の土砂が落とされる様は滝壺近くで滝を見上げているときのような衝撃を受ける。
こうやって少しずつ地面を掘り進めながら、中央部で並行して給水所(貯水池)を建設し、地下に埋めていっているらしい。
大体5分に1回くらい大量の土砂が運ばれてくるのだが、1日で地下に掘り進められるのはわずか10cmだけ。
水道工事現場の最前線は、まさに地道な作業の連続だ。
水道料金は高くない!
そのあとも施工全体を管理している管理室でどういうことができるのかを説明してもらったり、
外周を回りながら質問タイムをもうけていただいた。
どの人もすごく優しくて、変な素人質問(工事って雨の時どうするの? by 僕 とか)にも丁寧に回答してくださった。
この2017年から着工している王子給水所の工事が完了するのは、今の所2025年の予定らしい。
小学1年生が中学3年生になる間、ずっと工事をしていると思うと、気の遠くなる。
わずか1時間の見学会だったのだが、少し説明を聞いただけで、これまですれ違ったであろう工事現場の数々のことを思わずにはいられなくなってしまった。
雨だろうが、なんだろうが、この工事現場は1日10cm土を掘って、建物を埋めている。
僕がこれまで意識すらしていなかった工事パネルの裏側には、ここと同じくたくさんの仕事があったのだ。
そう思うと、ちょっと水道料金が高くてもしょうがない気持ちになる。むしろありがとう、水道局。
これからは中身が見えないものにもちゃんと想像を働かせて観察をしていかねばと思わされる1日となった。