人生観変えたい奴はとっとと健康診断に行け

初めての再検査

会社員として働く大きなメリットの一つに、1年に1回必ず健康診断を行えるというのがある。

 

僕の会社は毎年6月前後に検診が行われ、レントゲンから心電図、血液検査に視力検査といった基本的な項目の良し悪しを測られる。
 

健康診断自体は学生時代から定期的に行われていたイベントでもあったので、春の通過儀礼的にこなしている部分があって、正直その重要性をこれまで考えたことはあまりなかった。

そう、この間「E判定(要精密検査)」を取るまでは。

なんかこう、たのしみにしていたレストランに訪れたらその日だけ奇跡的に休業だったみたいな、残念の気持ちが強い。
このときはまだ、この事実を「ちょっとしたアンラッキー」程度に捉えていたように思う。

 

これが体脂肪や肝臓などの項目で引っかかっていれば、おそらく日頃の生活習慣が原因だと推察できる分落ち着いて受け止められる。
でも今回引っかかった項目は「心電図」。心臓の検査項目だ。

  

つまりこの再判定の内容は「心臓でなにか不調が起きていますよー」ということをいわれているわけである。

怖すぎだろ。

 
よく所見を読んでみると、電位差なるものが高いらしい。

何がどうしてこうなるのかわからないから、気持ちの落とし所がわからない。

同僚はお酒の飲み過ぎで肝臓の検査項目に引っかかったらしく、なぜか誇らしそうに「いや〜引っかかってしまいました〜」と笑っていた。
 

こちらはそれどころじゃない(肝臓で再検査も別にそれどころではないが)。
心臓に不調が起きているかもしれない恐怖は、明日自分が生きていられるかという不安に直結するのだ。

 

「心臓が止まったらどうしよう」

 

健康診断によって唐突に「死」が現実になって押し寄せる。
僕は会社の案内にしたがって急いで再検査を申し込むことにした。

 
 

「心臓に穴が開いているかもしれない」byお医者さん

 

再検査に訪れたのは、近所の内科だった。

 

風邪の時にもお世話になったいわゆる町医者なのだが、循環器内科も見ているようで、心臓に関わる検査の場合はこの循環器内科にお世話になるらしい。

 

予約の際に「健康診断で心電図に異常があって……」と伝えたら検査結果をお持ちのうえ診察へ〜とのことだったので、E判定がでている結果表を握りしめ、診察に向かった。

 

「心房中隔欠損症の可能性があります」

  

軽い問診のあと心電図とエコー検査(妊婦さんがやるあれを胸にあてて心臓をみる検査)を行い、再び診察室に呼ばれた僕が受けた診断名である。
 

ここで心臓について勉強しよう。

心臓はこの図の通り、4つの部屋に分かれている。
そのうちの2つの部屋「右心房」と「左心房」の間には、生まれたときに穴が空いているらしい。
というのも肺で呼吸ができない赤ちゃんは、お母さんからへその緒を通して酸素を踏んだ血液が、この穴を通って直接心臓に送り込まれるようになっているためだ。

この穴は成長する過程で自然と塞がれていくのだが、この穴が残ってしまっている症状が、「心房中隔欠損症(もしくは卵円孔開存)」という。

 

お医者さんは「かなり微妙なところだけどね」と説明を続けた。
僕から見て左手に心臓エコーの結果が貼られていたのだが、それを見るとわずかに右心房〜左心房間で血液が漏れているらしき様子がピックアップされていた。

 
穴自体はこの病院の設備では詳細に確認できないため、より確実に検査をするためには大学病院にいってほしいとのことだった。
 
では、続けて僕の心電図を見てもらおう。

この少し波形が乱れているポイントは、穴が空いているために起きている不正脈……かもしれないらしい。
(そしてその部分が健康診断で引っかかった要因。たぶん。)

 

お医者さんから「自分でも調べてみたらいいよ」と診断名が書かれたメモと大学病院への紹介所をもらい、帰路についているとき、僕が思っていたのは、

「健康診断があってよかった……!」

ということだった。

 

わずかな異常の切り口から、ここまで辿り着けた、そのことにまずは安心したのだ。
そして帰り道、「心房中隔欠損症」のことをネットで調べてゲンナリするのだった。

 

 

ワンピースの結末が見れないのが1番怖い

その後大学病院で診察を受けることになるのだが、驚くことに検査に2週間、その結果を知るのにさらに1週間がかかると言われ、僕が自分の状況を知る前にはおよそ半月の時間が必要となった。

そもそも心房中隔欠損が起きていたとしても、今時点で自覚症状がないのであればその影響はあまり大きくないらしく、そういった理由もあって検査と申告を聞くまでに時間をかけることになった。

影響は大きくないとはいえ、こちらが不安なのは変わらない。

心臓に穴が空いているかもしれない、なんて言われると自分が生きていることが不自然にすら思えるからだ。

その不安は夜中に大きくなりがちで、ベッドに入って電気を消してから毎晩のように、

ああ、ワンピースの結末を今すぐに知りたい

と思っていた。

生きるモチベーションにワンピースの結末が大きい要素を占めていることに驚きつつ、創作というのは偉大だな〜と謎の感想を抱きながら、毎夜曖昧な気持ちで眠りについていた。

(ちなみに僕はワンピースのコミックを1冊も持っていない。)

そんなこんなで大学病院での検査を終え、いざ結果を聞く日。
待合室で名前が呼ばれ先生の待つ部屋に入ると、循環器内科専門の先生が話をしてくれた。

「結論からいうと、問題はないと思います」

よーーーく観察をしてみたが心臓に穴は開いていない、という結果だった。

「どういうこと!?」と思わなくもないが、大事になっていないであればそれにことしたことはない。
そもそも自分の体のことだ、どちらにしても発端は自分だ。

その後、より詳細に心房中隔欠損症の話を丁寧に説明してもらい、兆候がないことを共有された。
そもそもの健康診断にひっかった原因は、心電図検査は基準を厳しくしていることもあり、機器やその日の体調の具合によってアラートが出やすい可能性がある、とのことだった。

なにはともあれ、異常はないという事実さえ受け取れればこちらとしては全く問題ない。

病院をあとにして大きく息を吸い、一件落着!!!と強く思った。

   

人生観を変えたいやつはとっとと健康診断に行け

僕は人生に落ち込むと、松屋のハンバーグカレーを食べることで元気を出すという習慣があるのだが、この結果が出るまでの間に3回も食べていた。

この間なるべく平常心で過ごすことを心がけていたのだが、どうやらそれなりに不安だったらしい。

 
結果だけみるなら、勝手に不安がって勝手に異常がないことを喜んでいるだけなのだが、一連の出来事が僕に与えた影響は大きい。
身に覚えのない事態によって命が危なくなる怖さを知ったからだ。
 

みんな知ってると思うけど、人間は死ぬぞ!
(ルフィもアラバスタ編でそんなこと言っていたはずだ)

 

それから、今回僕から伝えたいことは、ただ1つ。

 
みんな〜〜〜〜〜〜!健康診断には必ず行っとくれ〜〜〜〜〜〜!

  

何もないならそれが1番、なにかあったなら早めに気づける、それ以上に大切なことはない。
それ以上に大切なことはない!!!

 

人生が退屈だとか、いいことがないとか、人生観を変えたいとかそんなふうに思うのなら、ぜひ健康診断に行ってほしい。
自分の体が今どういう状況なのかを知ることが1番生きている実感を感じさせてくれるから。

 

命だけでなくお金も大切、ということで僕はこの後すぐに保険の資料請求をした。

我ながら小心者だなと思うがしょうがない、こうやって生きていくしかないと決めたのだ。

この文章は僕の体験を元に健康や病に関することを書いていますが、聞きかじりの知識と凡庸な記憶力に基づく内容のため、正確なことは絶対に医師のアドバイスを聞いてください。そういう意味でも健康診断にはぜひ行きましょう!
あとこの内容で不安な気持ちにさせてしまった人がいたらすみません。その不安を払拭するためにも健康診断には行こう!

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