ここに緑のたぬきがある。
カップそばの魅力はなんと言っても、中に入っている天ぷらだろう。
そして僕はこの天ぷらを、そのまま食べるほど好きだ。
人によってはそばの出汁と共に味わうからこそ美味いという方もいるだろうが、まず天ぷらの良さを考えてみてほしい。
<天ぷらの良さ>
・サクサクしている
・ある程度の油(ジャンク)感
・素材の食感と風味によって味わいが変わる
上記を踏まえて考えてみると、天ぷらそばに付属している天ぷらは、その良さをないがしろにされていないだろうか。
確かに出汁に浸して、ふやふやになった天ぷらとそばを一気にすするのも美味しい。
しかし、天ぷらとして生を受けたのに、生き方がそばの上に固定されてしまうのも悲しいではないか。
僕はこのカップそばの天ぷらにも、天ぷらとしての選択肢を見せてあげたい。
というわけで、今日はこの天ぷらを天丼にしてみた。
ここに至るまでの軌跡を聞いてくれ。
天ぷらだけでも売っている
明日スーパーをうろうろしていたら、チルド麺のコーナーの片隅にこんな商品を見つけた。
カップそばについている天ぷらの、天ぷらだけが売っていたのだ。
調べてみたらかなり前から販売されているらしく、世間的には定番なのかもしれないが、僕はこれをみて衝撃を受けた。
「カップそばの天ぷら食べ放題じゃん!」
そもそも成人男性の胃に対して、1つの天ぷらは少なぎる。
そして僕はまず天ぷらをそのまま食べてしまうので、もう1つあれば出汁に浸して食べることもできるのにケチだな〜と自分勝手に不満を抱いていたのだった。
しかし、開けてみてまたびっくり。
緑のたぬきの中に入っている天ぷらと見た目ほとんど同じなのに、よく見ると別物なのだ(販売は同じ東洋水産)。
このえび天だけが製造されている別のラインがあるのか……。
何とも贅沢な気がするが、好物なので優遇されていると知れば嬉しい。我が家までその製造ラインを引いてくれ。
天ぷら長者
これだけ好物をたべれるとなると、自然とテンションが高くなってしまう。
今日だけは誰になんと言われようとも贅沢の極みを尽くしてみよう。
まずは標準の天ぷらそばへのカスタマイズ。
いつもなら1枚だけで満足するしかなかったが、
2枚でも、
3枚でも入れられるなんて!
今日は普通の土曜日なのに、こんな幸せを感じていいのだろうか。
そして何より普通に美味い。
好きな食べ物って無限に食べられるとしみじみ思っていたが、本当に無限に食べられるかもしれない。
欲望は留まることを知らない
天ぷらそばを食べ終えた僕が次に引っ張り出したのは、緑のたぬきの相方であり、ライバルでもある赤いきつねだ。
このいなりも美味しいんだよな〜。いつもそのまま食べてしまう。
出汁が染みていても当然美味しいが、サクッとしたスナック的食感と程よい甘じょっぱさがたまらないのだ。
この赤いきつねに、堂々と、そして容赦無く、えびの天ぷらを入れる。
いつもそばの出汁に浸されている天ぷらも、うどん出汁に突然入れられて困惑しているだろう。
自分がすごく悪いことをしている気がして、つい周囲を見渡してしまった。
誰かに見られたら非常識だと怒鳴られそうだ。
しかし美味い。美味いから許してほしい。
赤いきつねの甘めの出汁でも、天ぷらは全然負けない。むしろより奥にいる海老の風味が強く感じられるような気がする。
自然とうどんが進む。これもう製品化してくれないかな。
(調べてみたら、ちょっと前に緑のきつねが公式から発売されていた。僕の思考の浅さが露見した)
緑のたぬきの天ぷらは天丼にしても美味い
ここからはカップそば天ぷらの新しい魅力を探しにいく旅となる。
目標は麺類からの脱却。緑のたぬきの天ぷらをご飯に乗っけて、天丼にしてみよう。
だが我が家の無洗米にそのまま乗っけてはもったいない。
せっかく天丼にするなら、こだわっていこう。
餅は餅屋、天丼ならてんやだ。
いっそのこと店内に入って天丼を食べてしまいたいと思ったが、ぐっと我慢して、白米とてんやのタレをテイクアウトすることにする。
おそらくこんなオーダーをする人は後にも先にも僕だけだろう。
店員さんも「以上でよろしいのでしょうか?」と何度も聞いてくれた。
以上でよろしいです、僕には緑のたぬきの天ぷらがあるのだから。
帰宅したらあとは簡単。
白米に、えびの天ぷらを乗っけて、
てんやのタレをかけるだけである。
何だかイマイチしっくりこない印象になるが、たぶん天ぷらの形があまりにも整えられているためだろう。
「人工的に作られた感」がすごくある。
とりあえず食べてみた。
え!?うますぎる!
あまりの美味しさに目が見張ってしまった。10秒くらい経ってもまだ美味い。
カップそばの天ぷらは元々天ぷららしさを強調した部分が多い。
サクサクを超えたザクザク感や、抽象化された海老の風味など、その強すぎると言ってもいいほどの個性は白米の上でも強烈に作用する。
ここに甘辛い天丼のタレが合わないわけがない。白米が進む進む!
ついでにビール(発泡酒)も進むったらない!
うめ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
この感動をなんと言ったらいいのか。美味いが突き抜けて感謝までしてしまう。
この場合、誰に感謝すればいいのだろう?東洋水産を祀った神社とかか?
緑のたぬきの天ぷらはたまごでとじても美味い
勢いが余って、つい、卵でとじてしまった。
天ぷらのサイズがちょうど1人前になっているので、卵とじも作りやすいし、丼にも合わせやすい丸さがぴったりだ。
これも当然のように美味しいわけだが、分厚い衣が出汁を吸ってふっわふわになっているのが素晴らしい。
全部が卵のように統一感がでて、小さい子でもきっと好きな食感となっている(こんなに油っこいものを食べさせるからは保護者の方にお任せします)。
個人的に色味も綺麗に仕上がったので、先ほどの天ぷら丼と共に知り合いに見てもらった。
結果は、
学校の先輩:それどころじゃないほど忙しく返信なし
友人:これの方が美味いと有名店の天ぷらを見せてくる始末
家族:相変わらずわけがわからないと言われる
非難轟々だった。次あったら直接食べさせて黙らせたい。
食べ過ぎは良くない
この日の朝から天ぷらを食べ続けていたので、最終的にはものすごい胃もたれに襲われた。
いくら好物で美味しくても、無限には食べれないらしい。
そもそも製品表示を見ると、植物油脂が第一にきていることから、天ぷらというよりも天かすを固めたものに近いとわかる。
きっとカップそばの天ぷらは1日の摂取許容量があるはずで、僕は明らかにそれを超えている。
国よってちゃんと明示してもらわないと、これから僕のような被害者が出続けるだろう。
ちなみに別日に、てんやで上天丼を食べたら、この間まで食べていた天丼と違いすぎて困惑した。
「あれ、天ぷらってこんなにサクサク以外の食感あったっけ?」
海老や野菜の食感がこんなにも愛おしくなるなんて。
食感の大切さを文字通り噛み締めながら、味わった。海老はやっぱりプリプリなのがいいね。
何事も加減が大事という結末になってしまったが、身近にまだまだ知られていないマニア向けの商品が眠っている予感を思わせてくれた。
好物を山ほど食べれるのは嬉しいので、これからもどんどん個別に販売してほしい。
期待しているのは、あれですね、カップヌードルの謎肉。頼みます、日清さん。