ハーフタイムはもうこない(2023 春〜夏)

毎回日記の始まりは「今年も〇〇月経過してしまった」となりがちだ。

過ぎてしまった時間の長さに伴っていない体験の薄さによって、いつも振り返ると後悔と反省と苦言と悪口で構成されてしまう俺の人生。

毎年生まれ変わろうと思って壮大なスタートを切る年始から半年。

上半期の終了は「今年もこの自分のままで行くのか」とちょうど半分諦めがつきながらも、「とかいって下半期に一気に幸せになるに違いない」と心の底では期待しているのだ。

そこに至るまでの上半期を振り返ろう。

 

 

1月 コロナ・セミナー・嫌われる勇気

 

1月の11日にコロナ陽性になった。

これが陽性がでたときのソレね

 

世間では偽陽性なんてもののあるようだが、バッチリ真陽性だった。めちゃくちゃにつらかった。

その日の朝は朝4時に違和感で目が覚めるという異常事態から始まった。
日が出るにつれて喉がイガイガし、乾燥しているな〜と思って仕事をそのまま始めたら10時には寒気で冷静じゃいれらなくなっていた。

 

コロナか?と寸前まで思わなかったのは、前日に3時間くらい半身浴をしていてそのままベランダでのぼせた身体を冷やすという、風邪をひくには十分すぎる思い当たりの節を抱えていたからだ。

お昼頃にはもう座ってもいられなくなり、上司に相談したら病院にいってくださいと実に的確な助言があって、その後陽性判定を受けることになる。

 

コロナがそこそこ流行っていた時期でもあるので、診察を受ける病院は保健所の指示を受けながらとなる。
だが、どこも受け入れができず、体調がぐんぐんと悪くなっていく中、8件くらいの病院に断られた。

 

やっとOKがでたのは、かかりつけでも保健所から案内されたところでもない町医者で、逆にどうして予約が取れたのか不安だったのだが、ここの先生がものすごくいい人だったのをよく覚えている。

 

検査するときも「つらいよね、ごめんね」といいながら対応をしてくれたり、コロナにまつわるすべての説明をゆっくり分かりやすく何度もしてくれて、熱が出始めてぼーっとしている状態で親切にされたもんだがら、思わず診察中涙ぐんでしまった。

それに対しても「大丈夫、いまはすぐ治る病気だからね」と笑いながら励ましてくれた。
どう考えても病院側の方も大変なのに、しかもそれがもう数年続いている状態なのに、この人はなぜ荒まずに生きていけるのか不思議だった。

ともかくその優しさのおかげで気持ちを整理することができてとてもありがたかった。

 

 

ちなみにコロナで自宅謹慎があけたその日に職場のセミナーで登壇しないといけなくて、それこそ死ぬような目にあったのだが、死ぬことはなかった。
もうやらんぞ。

 

 

年始に入って最初に『嫌われる勇気』という本を友人の薦めで買った。

これを薦められる俺の人間性もどうかと思うが、ベストセラーであることもあり読みやすさだけは抜群だった。

 

6ヶ月経って内容はまったく覚えていない。人間そんなものである。

 

 

2月 試験・引越・ライターデビュー

 

俺は長らくデータ集計や分析に関わる仕事をしているのだが、使用している代表的なツールにTableauというBIツールがある。

 

そのTableauを使っているユーザーたちが、自身のスキルアップのためにお互いを認定し合う認定制度があり、名前をDATA Saberという。

DATA Saberを受ける者には必ず1人の師匠がつき、アドバイスを受けながらTableauの技能やデータドリブン(データによって意思決定を動かす考え)思考に関して、いくつかの試練を超えながら3ヶ月間で合格を目指す、認定プログラムとなっている。

 

そのトレーニングを始めたのが、昨年の11月。
つまりこの2月は認定試験の最終月だ。

 

俺はコロナと激務の狭間で多分にスケジュールが遅れており、もう2回ほど諦めのメールを師匠に送るほど終わっていたのだが、師匠の懐が非常に広かったために最後まで面倒をみてくれて、ギリギリ最終日に最終試練をクリアした。
もう後半の展開は少年漫画みたいなやりとりを繰り広げ、熱い展開で幕を閉じた。

認定証をもらえる

 

この3ヶ月、仕事以外に毎日(本当に毎日!)2〜5時間自習をして、空いた時間でTableauに関する記事を書いたり、レクチャー会を実施するのはとても骨が折れて、しんどくてたまらなかったのだが、厳しい試練を終えると全てを忘れてただ誇らしい気持ちが残る。
これだから人生はやめられない。

 

そこから以降4ヶ月。Tableauは触っていない。人間そんなものである。

 

 

そして恐ろしいことに同月、引越をした。我ながら忙しすぎだろ。

前の住居は目の前に業務スーパーが徒歩15秒で行けるところにあって、冷蔵庫がわりに使えるほど便利だったのだが今は10分くらい歩かないとないからつらい。

いま神龍が目の前にいたら、思わず「横のマンションをOKストアにしてくれ!」と叫びたいほど欲している。
それ以外は快適だ。

 

 

3月 健診・クレスタ・短い記事

 

そういえば2月のパートで書き忘れたがライターとしてお金をもらう仕事をした。
『水曜日のハンズさん』と『隣のカインズさん』の2つのメディアで記事を書かせてもらったのだ。

 

「スポンジみたいに吸収力がある」は褒め言葉なのか? 自分の体で検証してみた | 水曜日のハンズさん
「スポンジみたいに吸収力があるね」なんて褒め言葉があるように、スポンジは“吸収力”の代名詞的存在になっている。では、スポンジよりもたくさんの水を飲めれば、僕が今日から“吸収力”の代名詞になるのでは———!?

 

カインズで「万物を自動化」する凄いアイテムを見つけました | となりのカインズさん
以前テレビアニメ「サザエさん」に登場した「全自動タマゴ割機」は、シュールな見た目とエピソードの狂気さから、強烈なインパクトがあった。世の中にはくだらない「自動〇〇」が意外とたくさんある。カインズのオンラインサイトで見つけた変な「自動」アイテムをピックアップ。その中でも「全てを自動化する」夢のアイテムに出会ったので、みん...

 

俺がライターを目指して雑記を書いていたのは、”会いたい人に会える肩書きを持つこと”だったので、その意味でも大きな前進だったと思う。
本当にありがたい限りだし、できる限り良いものを作りたいと思う。

まだまだ力不足な部分もあるが、帳尻を合わせて生きていきたい。

 

 

そしてクレイジースタディーというWebメディアにも、ゲストとして記事のお手伝いさせてもらった。

 

バカの考えたごちそう選手権
  家のごちそう代表、手巻き寿司 ごちそうという言葉が好きだ。ある時は家族や仲間とのお祝いに、ある時はがんばった自分へのご褒美に。思いのこもったごちそうは胃袋だけでなく心までも満たしてくれる

 

発端はカローサムさんがつぶやいた「バカなごちそう食べたい」というツイートにいいねをした食いしん坊3名が集めて、それぞれのバカなごちそうを披露しあう企画となったのだが、各々のバカさが好き勝手に展開されていて最高だった。

異種格闘技戦か?

 

打ち合わせのときにみんなで雑談をしていたのだが、趣味が近しい人たちが集まるとこんなに和やかな交流ができるのか!と非常に新鮮な気持ちになったのを覚えている。

むかーしにナタリーというカルチャーメディアの採用面接を受けた時、マニアックなアーティストやアングラ劇団の話をしても、完璧に並走したトークをしてきておもしろこわかったあの時と似た感覚になった。

 

後日カローサムさん・髙橋さんとは直接お会いする機会もあって、絶対にこのサイトを作っていなかったら出会えなかった人たちとたのしく過ごすことができるのは不思議な達成感があり、とてもうれしかった。

能動的に行動をしないと人とつながれない大人にとって、趣味のありがたみを最近はよく感じている。

 

 

この時期から始まった新しいことに、いつも記事を投稿しているデイリーポータルZの短い記事コーナーがある。

個人的なお気に入り
短いつっぱり棒、エスコンフィールドの巨大なレール、ヨーグルトコーヒー~超短い記事
野菜ジュースの美しさ、ドイツ語でのマーマーレード、日比谷公園のイスが七輪、ファミリーマートが2つあるような交差点、横浜駅東口の箱人、日本橋のタイムカプセル、ガストのドリンクバー、日常のちょっとした違和感を切り取りました。 (デイリーポータルZ)

400文字・画像2枚以下という条件で記事を書く特殊な投稿部門だが、普段3000〜5000文字の記事を書いている身からすると、たった400文字の文章はものの10分くらいで書けるのでありがたいレギュレーションだ。

 

自由ポータルのような文章に対するコメントはないが、デイリーポータルZの盛り上げ役として参加させてもらえることがうれしい。
なにより全てが楽なので、たのしみながら創作ができるよい息抜きになっている。

採用されるとノートももらえるぞ!

 

 

このタイミングで健康診断再検査にいって、とんでもないことが起きるのだが、それはこの日記を参照してくれ。

 

 

5月 京都・GW・マニアフェスタ

 

GWはおでかけ三昧だった。おうち時間の終焉である。

JAPAN JAMから始まっていくつかの音楽イベントに行きながら、主に酒を飲んで人と会っていた。

中旬には愛してやまない街、京都へ。
およそ半年ぶりの京都訪問だったが、たのしみにすればするほど天気は悪くなり、初日にいった平安神宮は世紀末くらい大荒れだった。
本来すごく気持ちの良いところなのに、残念ながら雨の印象しかない。

それでも京都が好きなのは、どうしても物語を感じてしまうからだろう。
好きな作品が軒並み京都を舞台にしているので、そこにいるだけで主観の人生でいられる。
俺みたいな自己陶酔が得意な人になればなるほど、京都がもたらす作用は大きい。

 

 

そしてマニアフェスタ。

 
正確には5月じゃなくて4月29日だが、GW期間中なので大目に見てくれ。

これはすごかったな〜〜〜。

 
ナンセンスダンスという寄せ書きサイトに寄稿しているメンバーで日記集を作って、ニコニコ超会議内で開催されていたマニアフェスタで販売をしたのだ。

気ままに踊ってよ - ナンセンスダンスのBOOTH - BOOTH
ナンセンスダンス19名のメンバーが書いた日記集です。知らない人が書いた取るに足らない日常の記録をのぞいてみませんか? 発送にはお時間をいただく場合があります。 ご了承ください。

(日記集はここから買えるぞ!)
 

俺は都内在住のアドバンテージを使って売り子をやらせてもらったのだが、まずニコニコ超会議がたのしすぎた。

 

てっきりもう下火のイベントだと思っていたのだが、失礼極まりないと反省するほど大盛り上がりで、四方八方全部ニコニコクオリティで構成されていて圧倒された。

普通に歩いてたら撃たれた兵士が壁に横たわっていたりするのを、みんなスルーしている異常空間。
ゴリゴリのマッチョが初音ミクの格好して踊っているステージ端。
小林幸子のタオルを肩にかけて、謎のネギトラックに乗っている青年。

Wi-Fiが目に見えるほどインターネットが濃すぎた。

 

もちろんナンセンスダンスのメンバーとして日記集の売り子をするのも有難い体験だった。
ずっと緊張していて、期待されたパフォーマンスができたかは不安なのだが、自分の書いた文章が載っている本を知らない誰かがお金を出して買ってくれること、そしてそれを手渡しできることが何よりも嬉しかった。

 

マニアフェスタは広い幕張メッセの会場の片隅にあって、その中のわずか長机1〜2個の我々のブースに辿り着き、お金を出して本を買ってくれることの有り難みを肌で感じた。

記事のやり取りをしていたピリきゅうさんやTwitterで見ていた辺野目えのん氏と丸1日いっしょにいて、話ができたものたのしかった。
インターネットにも血が通っているのだ……!と1日中思っていた。

 

 

6月 羨望・怠惰・自由ポータルがない日々

 

大好きな劇団ことヨーロッパ企画が2つめの映画を作った。

 

また、今年は劇団設立25周年ということで下北沢でイベントが行われ、ちゃっかりそれにも参加してきた。

 
内容はヨーロッパ企画の旗揚げ公演(録画)を観るのと、作演出をやっている上田誠フェスの2本立てだったのだが、公演終了後に上田さんが入口でファンの人たちと写真を撮ってくださっており(そんな予定はなかったので完全にご厚意だ。すごすぎる)、どさくさに紛れて1枚キメさせてもらった。

推し活ってこういうことかと納得できた

 

上田誠フェスではこれまで発表してきたいくつかの短編を上映しながら、上田さんが作品の解説をしてくれる。

とにかくすべておもしろくてあっという間だったのだが、撮影の苦労話として話していた「僕たちってこういう作品(時間にまつわる創作やコメディ)を多く作ってますが、おもしろいとたのしいは全く別物ですからね」という言葉にハッとさせられた。

 

自分も個人的におもしろいと思える記事を作ってはいるが、だからといって毎日たのしいわけではない。
むしろその分めんどくさいことが増えているはずだ。
いつの間に習慣になっているから続いているだけで、別にやめたって対して人生の価値は変わらないだろう。

 

それでもネタを考えて、写真を撮って、記事を作ろうとしてしまうのは、出来上がったときの達成感がたまらなく心地よいからだと思う。

おもしろいことをやっている人が必ずしもたのしんでいるわけでないし、たのしくないことがおもしろくならないわけでもない。

その2つは全くの別物で、おもしろいもたのしいも、出来上がった後の結果論だ。

 

蓄積されている日々や時間にはたのしい瞬間がないかもしれないが、その結果がおもしろくならない理由にはならないのだ。

 

 

5月末をもって、デイリーポータルZの読者投稿コーナー「自由ポータルZ」が終了した。

 

デイリーポータルZはいわゆるやってみた系記事の宝庫というか、人生をたのしむための工夫を森羅万象全方位取り揃えているガイドブックのようなWebメディアだ。

そんな憧れのサイトを運営しているプロのライター・編集者に、自分の文章を講評してもらえる奇跡の場所が「自由ポータルZ」だった。

 

そもそもDPZを知らない人からみたら、このニュースはまるで別の国の天気模様くらいどうでもいい話かもしれない。
だが、その国に住人といってもいいほどこのコーナーに支えられていた人たちからすると、災害のようなショックを受ける出来事だった。

 

 

俺は2021年の年末に初めて記事の投稿を始めた。

1度2020年のオモコロ杯に応募して、箸にも棒にもかからない結果だったのを機に文章を書くことが減っていた中、本当に気まぐれで書いた文章を投稿したら「もう一息」として掲載をされたのがすべての始まりにだった。

 

コアラのマーチ全365種類の絵柄を食べてみた~自由ポータルZ :: デイリーポータルZ

 

 

掲載されることでサイトのPV数が伸びるのはもちろんだが、何よりも「誰かが確実に読んでくれる」ことが支えだったように思う。

 

俺のサイトは自由ポータルに掲載されるようになってからある程度PV数がつくようになったが、それまでは1回なにかを書いても5〜10PV読まれていればマシくらいの過疎具合だった。
拡散能力が微塵もない個人サイトなんてそんなものである。

 

そんな1PVの変動が顕著にでる状態で自由ポータルに投稿すると、大体水曜〜木曜にかけて必ず2〜3のPVがついて、「ああ編集部のどなたかが目を通してくださったのか」とわかるのだ。

受け手からすると迷惑な使い方だが、「投稿すると誰かが必ず読んでくれる」ことは書き手にとって計り知れないモチベーションになる。
ましてやそれが憧れのサイトのライター・編集者なら尚更だ。

 

それを続けてると欲がでてもっと記事を読んで欲しくなって、
そうなると編集部からのコメントで書き方を学ぶようになって、
たくさんフィードバックをもらうためにたくさん記事を書こうして。

そうして今の自分ができあがっている。

 

俺にとって自由ポータルZは、たのしい塾みたいな存在だった。
毎週金曜日の16時は待ち遠しくてそわそわして、ちょっと緊張していた。

自由ポータルZに掲載してもらえたことで確実にスキルがついたし、繋がりもできた。
ナンセンスダンスやカインズさんにも書かせてもらえるようになったのも、ここにきっかけがある。

とにかく、ありがとうございました。

 

まあ、実害として、投稿する場所がなくなったことで下半期のやる気は半減しています。

 

 

ハーフタイムはもうこない

 

上半期がやたら濃かったので下半期もそれなりに色々あるのだろうが、7月が終わればもう大晦日みたいなものという気持ちがある。

5月末まででそれなりにやりきってしまった感覚があり、大きなモチベーションがなくなってしまったため、もうあとはじっと正月を待つ体勢になりつつある。

 

どうしてもやる気がでなくて、最近は色々とインプットを増やしている。

映画を観たり、アニメを観たり、展示会にいったり。
この間は『電脳コイル』と『シュタインズゲート』を一気に観た。映画も週に2本くらいは観ている。
そうやって休日を浪費している。

 

休日が終わると平日がきて、関心がない仕事をして、飯食って寝る。
そうしているとまた休日がくるので、適当に浪費をする。これの繰り返し。

 

ある程度の年齢になると、自分の快適な過ごし方を心得てくるのか、不満がない生活が続くが、代わりに満足もない。
人生はしょせん生活の積み重ねなので意味などないが、納得できない自分との間で少し苦しい。

……いや、J-POPの歌詞みたいなこと言っているわ。

 

今日もサッポロ一番みそラーメンを豪快に2玉食べたので、下半期も変わらず退廃的で元気に過ごすことが今の目標だ。

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