7/3_泣きっ面にたくさんの蚊

 昨晩蚊に食われた。しかも5箇所も、2日続けてだ。夜中に羽音で煽られたこともある。非常に気持ちが悪い。
 流石に3日は耐えられないと思い、撲殺に努めたが肝心の本丸が見当たらない。悔しさも抱えながら、ここは人間らしく科学と金で解決しようと蚊取り線香を買って焚いてから数時間。部屋が煙臭くてたまらない。目も痛いし喉にも頭にもダメージがある。あれ、自身で仕掛けた蚊取り線香で確実に今週で1番弱っているが、俺は蚊だったのか?だとしたら相当頑張っている。蚊にしてはよくやっている方だ。だって日本語喋っているし。

 そして蚊にしては教養もあるのでビジネス書も読み始めた。『エッセンシャル思考』という「とにかく無駄な力をかけるのをやめ、シンプルにエネルギーを集約すべきだ」と言っている本。小説違ってかなり読みにくい。ずっと自慢を聞いている気持ちになる。
 これを世のビジネスマンは耐え凌ぐことで虚構と欺瞞に満ちた険しい出世街道を邁進していくのだろう。
 半分まで読み進めてから2週間は経っている。完読はいつになるのか。
 
 6月が終わって7月が来ている。確かに歳をとるたびに日々時間は早く過ぎている気がするが、それは1日の大半を過ごす平日の日中を忘れ去るに越したことはない仕事に費やしているからで、然るべき結果と思う。仕事と平日を確かに生きない事には、このループから抜けることはできない。
 そんな工夫を求めて最近はよくベランダで仕事をしている。まさかwi-fiがベランダにまで届いているとは思わなかった。眼下に墓地こそあるが、東向きのこのベランダは快適に働くための全てを兼ねている。一歩入れば部屋だし、三歩入れば冷蔵庫にはアイスもある。

 蚊にしては感性が豊かなので文化を愛して展示会にも行く。今日は『ルール?展』に行っていたが、国や街、コミニティに存在しているルールや決まりからデザインを考え、関係性を考え、物事を形作る定義について考える(あるいは伝える)ことをテーマとしている。
 いくつかの作品からルールに関する情報が紹介されていたが、とにかく会場にカップルが多く、さらにそのカップルたちは終始ずっとくっついて腕を組みながら鑑賞をしていることが気になった。展示よりも2人の間におけるルールばかり考えてしまう。展覧会は比較的混雑していたし、まあまあな熱気だったが離れない彼ら。作品を鑑賞しては談笑をしていたが、ちゃんと内容について考えているのか?いやしていないだろう。デートって考察する隙ないし。
 デートをするな、鑑賞をしろと目で訴えていたが所詮彼らのルールに俺は蚊ほども邪魔ができない。 

 引っ越してもう1ヶ月が経過する。はっきり言ってかなり快適でなぜあの「木造で音が響く上に住民の民度の低さゆえに長らく一触即発の家」に住んでいたのかわからない。駅から遠い以外は不満がない住環境。これが1人暮らしだと実感している。まあベランダからめちゃくちゃ墓見えるけど。実害はないし(これが大切!)。
 とにかく下半期が始まったが、蚊に刺されている以外は上々の滑り出しと言って良いだろう。めちゃくちゃ快眠なことがその証だ。俺はまだ負けていない。とりあえず蚊を殺す。

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