7/22_時に負ける初老

久々の連休初日、起きたら全裸だった。汗で全身がしっとりしていて、机には本麒麟のロング缶が空いている。こんなに悲しい朝はない。俺はなりたくなかった大人の形を日々更新している。

※その後ベランダへ投げ捨てられた可哀想な本麒麟

 とはいえ、いつまでもしっとりしている場合ではないのでシャワーを浴びて服を着る。文明を身に付けた途端にやる気に満ちてきた。この4連休で人生を変えよう!そう思って読みかけのビジネス書を開いたが、全然頭に入ってこない。以前も書いたがこの『エッセンシャル思考』というビジネス書、読めば読むほどムカついてくる。というか、ビジネス書全般、腹が立ってくる。ずっと著者が自慢しているだけではないのか?そもそもこの本は「情報をどんどん少なくして、少ないエネルギーで高い成果をあげよう!」と謳っている内容にも関わらず、本書が300ページを超えている時点で矛盾しているだろう。A4ペライチでまとめてこそ「エッセンシャル」と言えるのではないか、そんな揚げ足取りをずっと考えてしまう。あと「エッセンシャル」がずっと「シャウエッセン」に見える。お腹空くだろうが!シャウエッセン食べて〜〜シャウエッセンを火で炙りながら、ハイボールを流し込むやつやりて〜〜。

※俺の夢

 要するにこの本と相性が悪いな、と気づいたところでもう1時間くらい経っていた。いかん、このままでは怒りで4連休を消費してしまう。

 勢いで外に出て灼熱に焼かれる。全身しっとりどころか、もはや薄い水の膜に包まれているような状態で駅につき電車に乗り、秩父に向かう。実は毎年この時期に行く神社があり、今日はそのために時間を空けていたのだった。東京から電車とバスを乗り継いで4時間、奥秩父の三峯神社。
きっかけはラジオで山里亮太が年一で必ず行くすごい神社として話していたことに、興味を持った無職の時の俺がなんの気無しに参拝し、ついうっかり感動したことから始まる。
それから毎年夏の初めにお参りに行ってその年のお守りをもらいに行くのだが、毎年往路で絶望的に遠い秩父と結局小旅行ぐらいかかるお金に対してゲンナリしている。
しかし結局行くことには変わりがない。
 長い長い三峯神社までの道。途中「栃本」というおそらく栃木をパロディにしている(しんちゃんでいうサトーココノカドウのような)土地を見つけたり、「あなたのことを大事に想う」と小学生が書いたと思われる標語ポスターが掲載されている大きな吊り橋でバンジージャンプをする施設があるチグハグさに困惑しながらも、標高1100m程度の山中にある神社に到着する。
気温と同じくらい馬鹿みたいな人だかりをソロプレイの強みを遺憾なく発揮して華麗にスルーしながら、来た時間の100分の1の短さで参拝を済ます。

 山頂にはご飯どころもあるので、飲み物でももらおうかと寄ってみたらデカデカと「氷」の幟が。こうなったら夏の始まりを五感すべてで感じたい!と思い、レモン味を注文。
すると裏から透明な塊を持ってきたおばさんが目の前でごしゅごしゅと氷を削る。最後にレモンシロップをかけて手渡されてから気づいた。デカすぎる。
恐る恐るスプーンを1つ刺したとき、手渡してくれたおばさんが「あれ、スプーン1つでいいの?」といった。そうかやはりこれは1人前を超えた量なのか‥‥‥。
なんだか「あれ?4連休の初めに若い男の人が彼女と食べるかき氷を買いに来たわけではないの?え?休みにここまで神頼みしに来たったわけ?プププ」と言われている気分になる、かき氷に相手に。

※俺なりの聖火

むしゃくしゃしたのでめちゃくちゃかき込んで食べた結果、復路の4時間、ずっとお腹が痛い。さらに電車の切符を間違えて300円くらい損した。最後の最後にグダグダである。
 帰宅して即シャワーを浴びる。クーラーをつけてゴロゴロしていて「結局これが1番」とゆっくり目を閉じた。こうして部屋ぐちゃぐちゃ小太り全裸おじさんの翌朝へとループしていく。誰か助けてくれ。

タイトルとURLをコピーしました