6/7_成金ディスコ

 九死に一生を得て、引っ越しに成功をした。まあそれくらい死んでいたら失敗と言っても差し支えないとは思うが。
 この土日は体力との戦いだった。荷造りが終わったのが業者が来る30分前という時点でいかに崖っぷちだったかがお分かりいただけるだろう。しかし驚いたのは引っ越し業者の男性2人。俺がひいひい言いながら運んだ大量の本が入っている段ボール1つを1人最低3箱は抱えて2階→3階の移動を何度もやってのけたのだ。後半は流石にしんどそうで、廊下から「うわー」って言っている声がよく聞こえた。人間、高い金を払っても引っ越し業者に依頼するために金を稼いでいるのだ、そう思った。

 適当に荷造りした割にはサクッと荷解きが終わり(広い家に越したというのも大いにあるが)、なんだかんだ収まった荷物たちと2晩ほど過ごした。
 どういう地域に住んでいるかというと、日曜の夕方ふらふら道を歩いているとおそらく老舗なんだろうと思わせる蕎麦屋から作務衣をきたおじさんが出前を肩に担いで自転車に乗っていくところに遭遇するような所だ。こち亀的世界観。しかしその分治安もあまりよろしくなさそう。俺が女の子だったら毎夜ガタガタ震えているに違いない。

 そんなこんなで新生活が始まったわけだが、特に新鮮味があるわけでもなくただ違和感と少しの恐怖を持って過ごしている。今日も味噌汁をこぼしたり、youtubeで嫌な動画が目に入ったりしていたし近所のスーパーは現金しか使えなかったりする。こうやって不幸なふりをしていれば、より不幸にはならないので少し凹む程度で生きていけるのは俺なりのライフハック。

 何より気持ちの切り替えができないのは、前の家にまだ荷物が残っていて、しかも3年分の汚れを近いうちに片付けに行かねばならないという憂鬱さからきている。ベランダに燃えるゴミ放置してきちゃったとか、直射日光当たるところに掃除道具出してるし、少し心配なことがずっと気にかかっているのが最悪だ。あ〜お金が無限にあれば引っ越し業者をあそこに派遣して掃除してもらったのに。
今の俺の限界はせいぜいここまでだった。諦念。

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