6/1_構図知らず 復活のリソース

 死んだように過ごしていた5月が終わり、静かに6月が始まった。外も中も、昼は暑く夜は寒い。気候の流れは漫然と時間の早さだけを伝える。完全についていけていない。俺をおいて世界が回っている感覚。
 などとアンニュイな表現でお茶を濁しているが、体は健康になり心は憂鬱なまま概ね健やかに生活は続いている。抱えていた虫歯2本は無事治療を完了し、不安だった膀胱の違和感はとりあえず気にしなくてもいい病名がついた。健康診断は去年より良くなっていたし、俺は今紛れもなく健康である。
健康が1番。命を存続させるということは、それ単体で人生を続ける目的になるからだ。

 引っ越し。先月うだうだ言っていた引っ越しがいつの間にか佳境になっている。佳境になるな。人生は常に余裕だけをよこしてくれ。
住むところも決まって、引っ越し業者との戦いにも勝ち、初期費用の支払いも済んだ。実はもう鍵ももらっている。が、この文章は相変わらず壁の薄いアパートで書いているのは、次の土曜日に引っ越しが行われるからだ。
 眼前にはドラマのように「引っ越しはアート!」と書いてある段ボールが積み重なっている。段ボールにガムテープをかけると「アート」の「ト」が隠されて、「引っ越しはアー!」になる。怖い。引っ越しって絶叫なのか?初めて業者を入れて引っ越しをするが、荷造りって箱に詰めるだけでお手軽だなと感じていることに恐怖を抱いている。
ヤドカリは住まいを変えるのに命をかけると言うが、俺はそんな覚悟など全くできていない。
 雨男の俺らしく、内見の日も、入居の日も、そして引っ越しの日も全て雨の様相を呈している。引っ越しによって命が削られるなら、気分転換程度で話を進めてしまったことにすでに後悔をし始めている。
 ちなみに俺の新居からはめちゃくちゃ墓が見える。vs騒音トラブルから vs恐怖体験に変わるのだろう。シーズン2は負けたくない。

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