もはや「トラウマ」という言葉は”昔あった嫌な出来事”くらいのニュアンスとなっている。
しかし本来の語訳はこうだ”大きな精神的ショックや恐怖が原因で起きる心の傷。精神的外傷”。
そう、出来事そのものではなくその出来事によって生じた「心の傷」を指しているのだ。
嫌なことを思い出した時に頭に過ぎる鈍い鈍痛や、心臓が急に跳ね上がることで苦しくなる呼吸とか、そういった現象のことをトラウマという。
もちろん日々人生は厳しいところがあるから、嫌な出来事はたくさんあるだろう。
ただ出来事は出来事で基本的にそのままにしておけばよく、その後に起きうるトラウマを出来るだけ軽くしたり、いっそのこと無くす事が大事であり、困難だったりする。
特に今はコロナ禍で外出もできないから、家に閉じこもっていると新しい蓄積はないため過去のことにばかり目が行きやすい。昨今の情勢も相まって暗くなりがちな生活で1番回避しなくてはいけないのは、トラウマの発露だと最近よく思う。
俺は新卒で入った会社でかなりの失敗をしている。俺が選ぶ会社を間違えたとかそういうことではない。どちらかというと会社が俺を間違っていれてしまったに(状況としては)近い。
あの頃の俺はどういう人間だったか。仕事はしないし、遅刻はするし、嘘をついて誤魔化すし、最悪休む。
今思い返せばどう考えても精神的に参っていたのだが、自身の状態に向き合うことをせず、ただただ現場から逃げ回っていた俺は360度どの角度から見ても社会人失格だった。
まあじゃあ今、それを糧に成功しているかいうとそういうこともないのがこの話の悲しいところなのだが……。
とにかく会社の完全なお荷物と化していたのに、それを気づいていなかった俺は上の人たちからとても嫌われていた。
新卒の会社は絵に描いたような体育会系で、上下関係も厳しくそのトップに君臨している人たちは異常な雰囲気を纏っていた。ほとんど鬼みたいな存在だった気がする。
そのうちの1人、愛車がベンツのゲレンデだった怖い人(執行役員で俺の所属部署のトップ)は、俺が退職する日に1度も目を合わせなかったのを覚えている。
元々辞める原因は100%俺が悪いので、それについて非難はお門違いも甚だしいが、今でもその時のことを思い出すと背中に嫌な汗をかく。
あと俺がPCを広げてEvernoteで(仕事用の)写真を整理していたら、それが視界に入ったその人は俺に近い上司を自席に呼びつけて「あいつ、業務に関係ないことしてるから」とだけ言いつけ、何をしているか聞いてこいと指示をしていた。
さほど広くもないフロアのため、当然俺にもその声は届いているのだが振り返る事ができない。
静まり返った空間の中、指示を出された俺の上司だけが動き、俺に近づいて「お前、何してんの?」と雑談を投げかける体で問いかけてきた。
俺は目をぐるぐる回しながらそれが業務上必要な事であることをしどろもどろ説明して、上司はイマイチ腑に落ちない感じでそれをその人に報告していた。
その怖い役員は自分が見た事がないPC画面を若手社員(しかも問題を起こしている俺)が見ていることが気に食わなかったのだろう。知らない画面=遊んでいると思い、注意してこいと命じていたのだ。
その出来事から数年経った今、客観的にこの時を思い返すと「情弱のおっさんが難癖つけているだけ」と非難することもできるが、あの頃の自分の惨めさと張り詰めた空気と「圧倒的に嫌われている事実」を思って、まだ心拍数が速くなってしまう(何度も言うが悪いのは問題を起こしていた俺であり、その点を被害者ヅラするつもりは毛頭ない)。
今日の夜、なんとなくテレビを見ていてベンツのゲレンデが画面に映って、一気に上記出来事から発生するトラウマを感じてこの文章を書いてしまった。まだ残っている傷に触れるたびに、情けない気持ちと忘れたい衝動と少しの怒りを感じる。
出来るだけこういう夜は無くしていくためにも、なるべく不幸は感じたくない。
嫌な出来事は面白おかしく思い出にして、自傷ごと愛していきたい。
案外自分がそういう意図で毎日を過ごそうとしていることを、辛い思い出をきっかけに考えてしまうなんて、これもまた皮肉なものだなと思う。
えー、オチがないので最近何度も観ている韓流アーティスト”aespa”の動画でお茶をにごす!!!いいか、夜はとっととクソして寝る!これに限ります!おやすみなさい!!
(メロディとか歌詞とかはよくわからないけど、ダンスとカメラの画角が凄いから観て!)