11/2_極楽園ベイベー

 27歳になったが、いまいち天命はない。
27という数字はなんとなく人生のピーク感があったのでかねてより期待を寄せていたが、少し膝が痛くなる程度なもので何も変わることはなく日々はそれなりに辛い。
 しかしこうやって毎日少しずつ昨日の自分より衰えていくという点において、毎日がピークであることには違いない。

 日記を書く気持ちになるとどうしても自分の”今”に向き合いすぎて暗くなる。高校の頃はもう少し願望とか妄想とかそういうことをメインに作っていたけどもどうしても現実に直面しすぎている。言葉でごまかすことばかりしようとしてしまって、好きな文章が作れない。

 今日は仕事を休んで静岡に来ている。と言っても今帰っている最中だが。
朝起きてジムへ行ってカレーを食べて、やることが何もなくなってしまったのでバスタに来てみたら静岡行きのバスが出るとこだったから飛び乗って三島に来てみた。
以前からどうしても「さわやか」に行きたくてしょうがなかったのでいい機会だった。さわやかにいくためだけに静岡に来て、さわやかを食べて帰る。
 
 到着時刻が夕方だったので、さわやかに入店後名前を呼ばれる頃にはすっかり夜になっていた。
天気は雨で街灯も少ない三島は真っ暗だったので、さわやかの看板がとても映える。


 入店して席に案内される。横は明らかに熱海に愛人と旅行に来ているおじさんで、逆サイドはすでにお子様ランチを完食してすっかり飽きてしまい俺を睨みつける幼児。
仕方がないがファミリーレストランってこういう感じだったか…?心を落ち着かせる。俺は今念願のさわやかにいるのだ。
なぜか呼び鈴はない。
滑るように通り過ぎていく店員さんをなんとか呼び止めてげんこつハンバーグとライスを注文。ハンバーガーも悩んだが今ではない。
 しばらく店内を観察。BGMはずっと肉が焼ける音がしており、全体的に煙い。サイゼリアとグラッチェの間のような内装にコメダ珈琲っぽい色彩。
案外落ち着くが、さわやかにはご飯を食べる人以外が決していないのが他のファミレスとの違いだろう。
逆にここでドリンクとポテトだけで受験勉強とかしたら面白いなとか考えていたらついに到着。
これまた流れるように俺のハンバーグが分断されて鉄板に押しつけられる。展開の早さに驚きながら俺がなんとか撮った動画をご覧ください。

 すばらしいの言葉も出ない。俺は生まれ変わったらげんこつハンバーグになりたい、そう思わせる。
食べた。思いの外しっかりと肉の旨みが広がる。ハンバーグステーキってこういうことかと思わせる歯応えと口内に飛散する肉汁。
何より醤油ベースのオニオンソースの甘みと塩味の程よさ。肉を最高に引き立たせるソースだった。デミグラスにしなくてよかった。味が想像つくものをこういう機会に頼むべきではない。

完食。肉が多い。うまい。
実はハンバーグの専門店にはいろいろ行っているタチで、家の近くの挽肉と米という人気店にもこの間行ったばかりなので、ちょっとそれらよりも美味しくなかったらどうしようとか思っていたが杞憂だった。

美味いものに順位などない。美味い、それ以外の評価は蛇足だ。
食べログとか愚の骨頂だな。レビューすな。美味いか美味くないか、必要な言葉はそれだけだ。

 退店。やはり27にもなると一つ一つのことにも悟りを感じるな(上の金言のこと)とかぶつぶつ行っていたら駅まで歩いてしまった。時刻はすでに19時。宿も取ってないし明日も予定があるので帰りたかったが、元から予定してましたと言わんばかりの的確さでスーパー銭湯行きのシャトルバスに乗り込む。おじさんとワンツーマンで10分の道のりをゆく。風呂に入る。最高だった。
 あとはこれで美女と酒でもあれば無事エンドロールだったが待っているのは常闇と肌寒さだけだったのでせせこましく帰宅している。

 大人っぽいってこういう1日のことを指しているのだろうと思う。
自分で選択肢を見つけて自分で決定する。その決定に一喜一憂しながら時間が流れていく。
今日はおそらくいい1日と呼んでもいいだろう。
 ちなみに俺がさわやかでハンバーグに感動していたと同日、別店舗のさわやかは火事で全焼していたらしい。俺にとってもさわやかにとっても今日は記念すべき1日であった。

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